さまざまなシーンで聞くことが増えた「サステナブル」という言葉。
近年問題視されている気候変動などの環境問題をこれ以上深刻化させないためにも、「サステナブル(=持続可能)」な社会を作ることがより重要になっています。サステナブルな社会を実現するには、何を購入し、どう生活するのか、一人ひとりの選択にかかっているといえるでしょう。
そんななか、以下の理由から、「竹」がサステナブルな素材として注目を集めています。
- 成長が早いから
- 多くの水を必要としないから
- 耐久性があるから
しかし、竹は本当に環境に優しい素材なのでしょうか…?もちろん竹素材にもメリット・デメリットがあります。
本記事では、竹素材のサステナブルな面だけではなく、問題点についても触れていきます。竹のメリットデメリットを知って、より良い選択ができるようになりましょう。
サステナブルな素材として注目の「竹」
テーブルなどの家具や雑貨、トイレットペーパー、さらには服まで。最近は竹を原料としたアイテムを見かけることが多くなりました。
身近なところでいうと、IKEAが竹素材を積極的に活用していくことを公言しています。
竹がサステナブル素材として注目されている理由
環境問題が深刻化するにつれ、サステナブルかどうかを基準に製品が作られることが増えてきています。数ある素材のなか、「竹」が注目されている理由はどこにあるのでしょうか…?
成長が早いから
理由の一つに、「成長が早い」ことが挙げられます。他の木だと成長するのに10年ほどかかるといわれていますが、竹はたった3年ほど。三分の一程度の早さで収穫でき、生産スピードと竹の成長スピードの差が少ないため「持続可能」と捉えられるのです。
多くの水を必要としないから
竹は繁殖力が強く、多くの水を必要としないことも、サステナブルな素材であるといわれる理由の一つ。
また殺虫剤や除草剤を使用しなくても育つことからも、環境に優しいといえるでしょう。
耐久性があり長く使えるから
原産国である東南アジアでは、建築にも使われている竹。そのことから、丈夫であることは間違いありません。
そんな竹を加工して作られたアイテムももちろん耐久性があり丈夫なので、長く使用できるでしょう。すぐに壊れてしまい、また新しいものを購入して…というサイクルはゴミを多く出してしまい、結果的に環境汚染に繋がってしまいます。
一つのものを長く使うことは、サステナブルな社会の実現において最も大切なことかもしれません。
竹製品を選ぶ前に知っておきたいこと
竹がいかにサステナブルな素材なのか、わかっていただけたでしょうか?
しかし、竹にも問題点はあります。「竹」=「サステナブル」と安易に捉えるのは危険です。ここでは、竹に関する問題点について触れていきます。
竹を栽培している地域の環境・人権問題
竹の原産国である中国や東南アジアでは、日本や欧米諸国と比較して環境や人権の基準が確立されていない可能性があります。
サステナブルな社会を目指すためには、環境はもちろん人権にも配慮が必要です。
日本国内の「竹害」
もともと日本古来の文化には、竹は欠かせないものでした。日用品や楽器、農作業道具、日本家屋などいたるところに竹が使われていたのです。そのため、竹が積極的に栽培されていました。
しかし生活様式の変化やプラスチックなどの代替品の出現により、竹製品が減少。最近はまた日常生活に取り入れられることが増えてきましたが、そのほとんどは海外の安価なものを輸入しています。
結果、国内の竹は放置されてしまっているというのが現実です。
竹がサステナブルな素材としてよりポピュラーになったら、国内の竹も有効活用されるようになるかもしれませんね。
加工時の化学薬品使用
竹自体は環境に優しい素材であるといえますが、加工の際には多くの化学薬品を使用しています。竹の繊維加工をする際、他の繊維加工と同様の方法で行われるので、素材自体は良くても完成した商品はサステナブルとは言い難いのです。
安心して使いたいならFSC認証マークをチェック
竹製品がすべてサステナブルというわけではありませんが、竹がサステナブルな素材であることは間違いありません。では、サステナブルな竹製品を選ぶにはどうしたら良いのでしょうか?
環境に配慮した竹を使用した製品を選ぶなら、「FSC認証」のついた商品を選ぶことをおすすめします。
FSC認証とは?
FSC認証は、持続可能な森林活用・保全を目的とした「適切な森林管理」を認証する国際的な制度のこと。認証を受けた森林から作られた製品には「FSCロゴマーク」がつけられます。
FSC認証は「10の原則と70の基準」に基づき、「森林を守る」ことだけでなく、労働者や先住民の権利、地域の文化など、広い視点で審査されます。
FSC認証を受けた製品を選ぶことで、サステナブルな森林管理を行う業者や地域を支援でき、結果として環境を守ることにつながるのです。
参考:FSC
参考:FSC応援PROJECT「FSC®認証とは?」
メリットデメリットを知って正しく選ぼう
竹は、主に以下の理由からサステナブルといわれていることがわかりました。
- 成長が早いから
- 多くの水を必要としないから
- 耐久性があるから
一方で、竹害や栽培地の環境・人権、加工時の化学薬品使用など、問題点もあるのが現実です。
竹=サステナブルと安易に捉えるのではなく、良い面と悪い面の両方を知ったうえで、より環境に優しい選択ができたら素敵だと思います。
何かを購入する前には、まず素材や生産背景について調べてみてくださいね。