ファッション業界にも押し寄せる「サステナブル」の波。持続可能な社会を実現するためには、企業側はもちろん私たち消費者も「サステナブルかどうか」を考慮しながらファッションを楽しむ必要があります。
とはいえ、サステナブルにファッションを楽しむために具体的には何をすればいいのか、一個人でできることはなんなのか、わからない人も多いはず。
サステナブルにファッションを楽しむには、環境に配慮することはもちろん、人権保護や動物愛護などの観点も考慮しましょう。
本記事ではサステナブルファッションを楽しむために意識したいことや、サステナブルファッションがもたらす効果などを解説していきます。
すべて実践できなくても問題ありません。自分にできることから、サステナブルファッションをはじめてみませんか?
ファッションとSDGsの関係性
そもそも、ファッションとSDGsはどのように関係するのでしょうか。
SDGs(Sustainable Development Goals)とは「持続可能な開発目標」のこと。意訳すると、「世界中にある環境問題や差別、貧困、人権問題などの課題を、みんなで協力して解決していこう」という目標のことです。
具体的には17の目標に分けられており、その中でファッションと関わりが深いのは以下でしょう。
- 8.働きがいも経済成長も
- 12.つくる責任 つかう責任
- 14.海の豊かさを守ろう
- 15.陸の豊かさも守ろう
「12.つくる責任 つかう責任」の通り、私たち消費者にも「つかう責任」があるのです。
参考:外務省「SDGsとは?」ー持続可能な開発のための2030アジェンダ(PDF)
サステナブルにファッションを楽しむためにできること
「つかう責任」といわれても、具体的には何をすればいいのでしょうか。
まずは「つかう側にも責任がある」ことをしっかりと頭に入れ、そのうえで自分に何ができるのかを考えてみましょう。
長く愛せる服を選ぶ
ファッション業界は、トレンドの移り変わりが早い業界です。去年流行っていた服を今年も着ようとしたけれど、シルエットやデザインが微妙に古く感じてしまい、1年しか着られなかった…という経験をしたことはありませんか?
おしゃれを楽しむためにトレンドを取り入れたくなる気持ちはわかりますが、「トレンドだから」と買った服はどうしても寿命が短くなってしまいがち。
購入するときは、「トレンドに左右されていないか」「1年後、3年後、5年後…の自分に似合うか」「トレンドが過ぎても着たいと思えるか」「ほつれたりした場合、修理してでも長く使いたいと思えるか」を考えてから購入するのがおすすめです。
リユースの服を選ぶ
服を購入する際、ショッピングモールや駅ビル、ECサイトなどで新品を選ぶ人が多いのではないでしょうか。買い物するとき、「リユース」のアイテムも選択肢に入れてみてはいかがでしょう。
リユース(=再使用)されたアイテムを選ぶことで、一つのものを長く使え、結果としてゴミを減らすことにつながります。
今はリユースショップや古着屋さん、メリカリなど、さまざまな場所でリユース品を購入できる時代です。まずはこのようなところで素敵なものがないかチェックしてみてくださいね。
サステナブルな素材を使った服を選ぶ
新品を購入するのであれば、できるだけサステナブルな素材を使ったアイテムを購入するようにしましょう。
服を手放す際、一番多く選ばれているのは「捨てる」という方法です。「ゴミ」として廃棄された服のうち、約95%が焼却・埋め立てにより処分されます。
化学繊維の服を埋め立てて処分すると、微生物が分解できない場合があります。つまり、分解されないまま地中に残ってしまうのです。埋められた化学繊維からマイクロプラスチックが放出され、それが海に流れ出て海洋汚染につながります。
購入する際は、いつか手放すときのことを考え、環境に負担のない天然素材や分解可能な素材を選ぶようにしましょう。
参考:環境省_サステナブルファッション
参考:日本化学繊維協会「「化学せんい」は、環境にやさしいの?」
必要最小限のアイテムだけ買う
ゴミを出さないための一番良い方法は、そもそも所有するものを減らすことです。必要以上にものを持っていませんか?
「欲しい!」で購入するとどんどんものが増えてしまうので、 「必要かどうか」で判断するようにしましょう。
私自身、「この一枚さえあれば他はいらない!」と思えるアイテムかどうかを考えて購入するようにしてから驚くほど物欲が減り、所有しているアイテムも厳選されたお気に入りのみになりました。ぜひ試してみてください。
アニマルフリーのアイテムを買う
衣類を含むファッションアイテムには、動物の毛や皮が使われることがあります。それらの素材を取るために、動物たちはひどい環境で飼育されたり、最悪の場合殺されてしまうケースがあることを知りましょう。
サステナブルな社会を実現するためには、生態系を破壊しないよう、動物たちを保護していくことも重要です。
希少性の高いクロコダイルの革やリッチなファーのアイテムは、かつてはセレブの間で所有するのがステータスになっており、ハイブランドで多く使われていました。しかし最近では、多くのブランドが廃止の方向に舵を切っています。
2018年にはシャネルがワニやトカゲ、ヘビなどのエキゾチックレザーやファーの使用を廃止することを発表しました。
参考:WWD「「シャネル」がエキゾチックレザーや毛皮の使用を廃止」
ブランドの理念や取り組み、生産背景を調べて購入する
ファッション業界でもサステナブルを謳う商品が多くみられるようになりましたが、素直に受け取るのは禁物です。最近では、環境に配慮していないのにパッケージやPRを通じて「サステナブル」な印象を与える、「グリーンウォッシュ」な商品が多く販売されています。
「エコ」「環境にやさしい」などの謳い文句で販売されていても、きちんとタグをみて、素材や生産地を確認するようにしましょう。
また、ブランドのサイトを確認するのもおすすめ。ブランドのコンセプトや取り組みなどを確認し、サステナブルな社会作りに真摯に向き合っているブランドの商品を購入しましょう。
洗濯の頻度を減らす
洗濯する際に、化学繊維の服から細かいマイクロプラスチックファイバーが抜け落ちていることをご存知でしょうか。それが洗濯ネットを通り抜け、汚水処理工場のろ過システムまでも抜けて海まで流れ出てしまうのです。
洗濯により、毎年50万トンものマイクロプラスチックが海に流れ出ているといわれています。これを減らすためには、洗濯の頻度を減らすのが一番です。
また、最近ではマイクロプラスチックファイバーが抜け落ちづらい洗濯ネットが販売されています。このようなアイテムを併用するのもいいかもしれません。
着なくなった服はリユースする
どんなに慎重に選んでも、いつかは着なくなる服がでてくるでしょう。手放すときには、ゴミとして処分するのではなくリユースできないか考えてみてください。
衣類をリユースする方法はたくさんあります。
- 人に譲る
- リユースショップを活用する
- 衣類を回収しているショップに持ち込む
- 寄付する
- リメイクする
- ダスターとして使う
これまでの感謝を込めて、最適な処分方法を検討してあげましょう。
サステナブルファッションを実践したらどんな効果がある?
一人ひとりがサステナブルファッションを実践したら、どのような効果があるのでしょうか?
環境に配慮しながらファッションを楽しめる
アパレル業界は、数ある業界の中で2番目に環境を汚染していると発表されています。さまざまな要因が絡み合っていますが、主にはファストファッションの台頭による大量生産・大量廃棄が原因であるといえるでしょう。
参考:国連貿易開発会議(UNCTAD)
参考:国際連合広報センター「国連、ファッションの流行を追うことの環境コストを「見える化」する活動を開始」
一人ひとりが衣類を長く・大切に使うようになれば、ファストファッションが廃れ、サステナブルなブランドが残っていくはずです。
すると、環境に配慮しながら上質なファッションを楽しめるようになるでしょう。
ファッション以外でもサステナブルを意識するようになる
ファッションをきっかけにサステナブルに関心をもつようになった人は、他の分野においてもサステナブルかどうかを意識するようになるでしょう。
食材の廃棄、洗剤からのマイクロプラスチック放出、使い捨てなど、日常生活で改善できることはファッション以外にもたくさんあります。
他の分野でも「サステナブルかどうか」を意識し始めると、より環境にやさしい生活が送れますよ。
サステナブルファッションのデメリット
サステナブルファッションを実践すると、環境によい生活が送れ、日々の生活も豊かに感じられるでしょう。一方で、デメリットもあることを忘れてはいけません。
- お金がかかる
- 手間がかかる
すべての衣類をサステナブルなものに変えるのは難しいと思うので、今あるものは大事に使い、新しいものが必要になったら、その都度サステナブルなものに変えることをおすすめします。
まずはできることから。サステナブルにファッションを楽しもう!
サステナブルにファッションを楽しむためには、さまざまな方法がありましたね。
- 長く愛せる服を選ぶ
- リユースの服を選ぶ
- サステナブルな素材を使った服を選ぶ
- 必要最小限のアイテムだけ買う
- アニマルフリーのアイテムを買う
- ブランドの理念や生産背景を調べて購入する
- 洗濯の頻度を減らす
- 着なくなった服はリユースする
しかし、すべて実践しようと思うと、手間もお金もかかってしまいます。人ぞれぞれかけられる手間やお金に差があるので、できる人ができる範囲で行動していくことが重要だと思います。
まずは一つだけでもいいので、できることからはじめてみてくださいね。